ものを手に入れる、幸福感について-ジュエリー製作に関わる者がクリスマスに思う

サンタクロースの役割

昨晩は、クリスマスイブだったので、勿論恋人たちはそれなりに盛り上がったであろうし、家族で食卓を楽しくい囲んだ方々も多いでしょう。

Surface

我が家でも、ずっとサンタクロースを信じていた子供たちのために、遅くまで起きてプレゼントを置いたものでした。そのわくわく感というのは、実はもらう側は勿論なのだけれど、あげる側の期待感も大きいのです。
次の日の朝に起きてきて、子供たちがすごく喜ぶ姿を見るのがなにより楽しかったものだ。
たぶん、こういう形が「プレゼント」の最上の楽しみであるように思えます。
「サンタクロース」という西洋発祥のストーリーが日本で受け入れられたのは、もちろん、商業的なものもあったとは思いますが、こういったわくわく感が大きかったのかもしれません。

ものを買う幸福感に向き合うこと

最近はものを買ってもあまり心が満たされない。
そう感じる人が多いのかもしれません。
「あまり、ものが欲しくなくなったわ。」
と接客をしているとよくいわれます。
確かに、その通り。
私自身もその一人なので、特にジュエリーなどの高額品を「買ってください。」とはいいづらい。
しかし、ジュエリーをつくって、売ることが私の生業(なりわい)なので、どうしたら世の中の人に幸福感をもたらす「もの」ができるか?ということを常に考えるようになりました。
たぶん、もっと金額の安い、あまり深い判断を必要としない買い物の場合はそこまで考えなくてもいいのかもしれません。
しかし、悲しいかなジュエリーはどうしても高額になるし、また素材上100年でももつ。つまりは、私が死んだ後も、そのずっと後も残るわけで、「こんなものつくって…いったい誰がつくったんだ!売ったんだ!」と後世の人々に言われかねない。
ジュエリーのお店をやっていると、20年~30年前のジュエリーを持ち込んでくる人はざらで、100年~150年前、下手をするともっと前の「アメリカに移民するときに先祖がオーストリアから持ってきた。」なんていうダイヤのリングのサイズを直したこともある。
そういう、時間軸で考えていくと、今私がつくって、売ったからと言って歯が立たないような感覚も覚えます。
でも、あえてこの閉塞感に満ちた時代に、また今までの時代と違う時代を生きなければいけない人々に向けてジュエリーをつくってみようかと思うのです。
「ものがいらない。」といわれる時代だからこそ
「じゃあ、何が人を幸福にするんだろう?」って考えます。
答えは受け取る側によって、受け取る環境によって違うかもしれない。あるいは、発信する側の問題かもしれない。
この格差社会に高額なジュエリーを売るということが、果たして社会的意味があるのかとも思う。
そんな迷いのなかで、1つだけ間違っていないのではないかと思えることは、つくる側、売る側にそれなりの覚悟があるかどうか?あるいはそれによってわくわく感があるかどうか?そういうことが、幸福感を与えるものづくりには必要だっていうことでしょうか。
それほどの力量が私にはあるとは思えないけれど、私一人ではなく、志しある、ジュエリーのアーティストやクラフトマン、デザイナー、接客して販売する人たちがつながることによって、すこしだけいいものづくりができるような気がしています。

人がつながって、人に与える

正直、この仕事を始めたときは、ただ単に親の家業だったから、なんとなくという簡単な気持ちでした。
今でも、まだ迷走中です。
しかし、2012年からはじめた、若手のジュエリークリエーターのためのコミュニティに集まって来てくれる人々のエネルギーは中々のもの。ジュエリー・アーティスト・ジャパン(JAJ)と名づけています。

ジュエリー・アーティスト・ジャパン

こういう活力から、幸福感が与えられるものができあがってくると思うのです。
一人ではできない。
色々な感性のの人が集まって、最終的には買う人や身に着ける人も一緒にものをつくっていく。
人がつながって、人にそのその想いを与える、伝えていくことこそ、幸福感につながるものなのではないかと思えます。
そんなものの役割を、未来系をささやかに感じているクリスマスです。
よい、クリスマスを。
Have a nice holidays!
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