ジュエリーをつくる時間と価値について

Haru

仕事の評価

わたしの生業はジュエリーをつくって売るということなので、今の時代からすると、とてもマッチしているようには思えないかもしれない。
食や、住、あるいは旅などの体験に関して言えば、今とても注目の事柄なのだけれど、ジュエリーというとどうもコマーシャル的な、高額にお金をふんだくられるというイメージがついて回って、どうやら負の商材のようです。
人の手がかかって、しかも技巧的な技術が必要となるとどうしても商品は高くなる。
ジュエリーの価値は、もちろん石の価値はあるのだけれど、実はそれと同じぐらい重要なのは製作技術とデザインだと思っています。上質なものを身につけることは、やっぱり最終的にはその人のアイデンティティを育み、考え方を変えていくように思えます。

完成度の高い仕事ほど速い

Haru

たとえば、このリングの金とプラチナのろうづけ(ようせつ)は融点が違うために、きちんときれいにあわせるのは至難の業。
でも、クラフトマンは、これを日常の仕事してこなしていく。
私は時間がかかる、手間がかかるのが一流な仕事だとは思わない。
なぜなら、一流のつくり手になればなるほど、経験を積みいつもどうやっていけばいいかを考えているので、未熟な者にくらべたら仕事が速いのである。
いかに早い手で、完成度が高く、極めて高い品質のものを、同じコンディションでつくっていくかが難しいことだと思っている。
デザインにも、同じことが言えて、いつも日々頭の中で準備をしている。
スタンバイしている状態で、仕事の依頼があったときに、様々なアイデアを出していけることだと思う。
そして、この一回で決めるという一回一回の仕事の緊張感がとても大事なのではないでしょうか。
よく「これをつくるのに何時間ぐらいかかりますか?」という質問を受けるのですが、実はその仕事だけではなく、そこに到達することができるようになる時間の方がずっと大事で、時間は目の前にある商材一つの価値ではない。
少しずつ、こういう考えが、ものづくりを評価する基準になっていくことを、少しずつ伝えていこうと思っています。

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