ささきさとし 1 若手ジュエリー・アーティストを通して「モノ」の意味を考える 第1回
ISETAN JAPAN SENSES 期間中に開催される
『人』から始まる、日本のものづくり『 JEWELRY & LIFE 』 2018.10/31(水)~11/13(火)
伊勢丹新宿店メンズ館1階=メンズアクセサリー
若手に活躍する場を与え、生活に新しい価値を提案する2017年に始まったプロジェクト。
今回はささきさとしと話したセッションの2回分の第一回目を掲載します。
身に着けることで、アートが「LIFE(生活)」に溶け込む。若手コンテンポラリー・ジュエリーアーティストたちが「JEWELRY(ジュエリー)」だからできる、新しい価値の提案をするプロジェクトです。
会期中は、彼らのアートとしての作品。そして普段の生活にも寄り添えるデザインよりのジュエリーを展示販売いたします。
参加若手アーティスト達と話しているうちに、なんだか今、とても必要なことを、彼らが話している気がして、ここに載せることにしました。
参加アーティストは武蔵野美術大学出身の、稲井つばさ、ささきさとし、東京藝大大学院の三塚貴仁(みつかたかとし)、波夛野千尋(はたのちひろ)の4人です。今回はささきさとしと話したセッションの2回分の第一回目を掲載します。
ささきさとし (1)
ささきさとしの作品会期は10/31(水)~11/6(火)
武蔵野美術大学卒。仏のフィリップ・サジェに師事。工房一体型のショップで、デザイン・制作のキャリアを積み、独立。原石を自身でカットすることで、造形の可能性を広げている。
原点は、子供の頃、お土産屋で石を手に入れたこと
米井:
佐々木さんのジュエリーは、石の研磨から自分でやって、石にジュエリーのデザインを合わせている感じがとても興味深いのです。
佐々木さんがジュエリーに興味を持ったのはいつごろからですか。
ささき:
子供の頃アメリカに住んでいて、カリフォルニアの国立公園に家族と遊びに行きました。そこで安い原石のお土産がどうしても欲しくなり親にねだって買ってもらった。とにかく、その石がきれいで、大好きで、お守りみたいにずっとズボンのポケットに入れていました。それから、石を集めるようになり、今こんなことをしています。これが、自分がジュエリーの道へ進んだ原点だと思います。
米井:
その後、まっすぐジュエリーの道を行こうと美大を目指したのですか。
ささき:
実は高校は理系の高等専門学校に行きました。高専は5年間で短大卒の資格が取れるのですが、とにかく何かモノをつくることに携わりたかったのだと思います。
高校2年の終わりごろに、「美大」という選択肢があるということを知って、高専では美大受験に不利だとわかり、即座に高専をやめ、普通科の高校に3年で編入しました。その一年間は、美大受験のために費やし、どうにか、武蔵野美術大学の工芸工業デザイン学科に入学しました。
米井:
最初から、ジュエリーをつくろうと思っていたのですか。
ささき:
はっきり金属をやりたいとは思っていなくて、むしろ「木」の造形の方に興味がありました。3年で専門を決める時に、当時、金工専攻の担当教官がイギリスから帰ってきたばかりで、自由にものをつくらせてくれる雰囲気があり、そこに惹かれて金工の専攻に進みました。
ジュエリーというのは、お守りであり、自然との結びつき
米井:
卒業制作で、ジュエリーの一般的な想像とはかけ離れた、びっくりするほど大きなものをつくっていますね。
ささき:
卒業制作では、自分の原点である石を使ったものをつくってみようと、色々な石が入っている、3mもあるネックレスをつくりました。
子供の時、石を手に入れてから、ジュエリーというのは、お守りであり、自然との結びつきだと思って来ました。ジュエリーを大きくしたときに、神社の鳥居をくぐる様な荘厳な感じが出来るのではないかと考えたのです。
米井:
佐々木さんのジュエリーの考え方、捉え方がおもしろいですね。普通は、身につけるのがジュエリーという意識しかないですが。
ささき:
「ジュエリー」は、その一部を自然界から借りてくるというのが、あるべき姿じゃないかな。
それを身につける、あるいはそこに存在することによって、何かが自然から降りてくる。ジュエリーをつけることで、何かを宿す。そんな気がするのです。
フィリップ・サジェとの出逢いが人生観を変えた
米井:
卒業後にフランスのジュエリー・アーティスト、フィリップ・サジェ(Philip Sajet)のところに行っていますね。
佐々木:ギャラリーでフィリップの作品が所蔵されていて、そのジュエリーを見たときに、自分の求めているものとぴったり重なり、衝撃を受けました。そして、直接フランスの彼の工房におしかけて弟子入り。彼からは、人生観、歩くしぐさから、女性の扱いまで、色々なことを学びました。それまで、自分について自信が持てませんでした。フィリップは「自信を持って常に人として美しくいろ」ということを教えてくれました。23歳の自分にとっては、人生観をガラッと変える出来事でした。
ささきさとし vaadssstokyo INSTAGRAM
次に続きます>ささきさとし 2 若手ジュエリー・アーティストを通して「モノ」の意味を考える 第2回
コメントを残す