工芸とは、日本独自のもののようで、海外のcraftsというのは、もう少し趣味的な響きを持っているらしいのです。
日本のように、工芸をやっている人が、「人間国宝」なんて称号をもらって、尊敬されるという文化は無く、Arts とCraftsの地位の差は、相当あるようで、Artistsの地位はとても高い。
そもそも、工芸というものの定義がとても難しいのだけれど、伝統をつなぎ、実用性があり(最近はあまり実用性がないけれど)、アートであり、かつ卓越した職人の技術があること…なんだと認識しています。
笹山 央さんの「現代工芸論」を読むと、元々「工業」という言葉の方が後手で「工芸」の「工」から、実用的に使えるものをつくるという意味で、「工業」と名づけられたようです。
民藝運動というのが、大正時代にあって、柳宗悦という人が「用の美」ということを提唱しました。
日々、使われる、名も無き人がつくったものこそ、美しいという考えです。
同時期に、ドイツのバウハウスなどで、「機能美」なんていうのが、語られているのも興味深いです。
この「用の美」とか「機能美」というものが、実は今ジュエリーに求められているような気がするのです。
ダイヤモンドが1ctだとか、石の価値がどうだとかより、日々の生活に身につけて、耐久性も、実用性もあるジュエリーこそ…
それこそ、美しく、
今生きる人にとって意味があると。
そう、感じるのです。
だから、今、工芸を見直してみたいと思います。
ここ数年、若い工芸作家の作品が、精緻で秀逸で、本当にかっこいい。
そして、日本のジュエリーは、まさに刀剣金工(刀のつばや装飾をしていた人たち)が、明治以ジュエリーに仕事を転換していったという背景があるのです。
だから、日本のジュエリーには新しい価値を提案する潜在性が、あるのかなと感じます。
金沢のKogei fairなどにもぜひ行きたいですね。
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