断舎離とジュエリーリフォーム-いったい何が必要なものなのか?

断舎離をする人が増えている

最近、私のまわりには、親が亡くなったり、あるいはそうではないけれど、ものを整理し、捨てているという人たちが増えているように思います。
断舎離とは、モノへの執着を捨て不要なモノを減らすことにより、生活の質の向上・心の平穏・運気向上などを得ようとする考え方のこと。2009年刊行の『新・片づけ術「断捨離」』(やましたひでこ著、マガジンハウス)により提案された言葉らしい。元は仏教用語でしょうか。
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この気持ちは、わからないでもない。
大量生産、大量消費の世界の中で育って、長く生きていると色々なものが増えてきて、親の数より子供の数の方が少ないので、ものをもらってくれたり、処分してくれる一人の人にその整理の重い負担がのしかかってくるようになった。

だから、普段の生活も、要るもの最小限だけのものを持つことにしようということらしい。

残すもの、捨てるもの-愛着のあるものは残る

しかし、この作業をする上で、「残すもの」と「捨てるもの」の区別をしなければならない。
その時に、その人の考え方や生き方が出るなと、感じています。
たとえば、ジュエリーも金やプラチナには流通性があるので、デザインが古くなったものや要らないものは下取り業者に売りに出されたりされる。
もう、どこにも出かけないから、ジュエリーは要らないという。

「残すもの」と「捨てるもの」の境目はやはり愛着だと思っている。
どんなに安いジュエリーでも、自分の心に何か引っかかるものがあるときは「残すもの」に分類される。

シンコーストゥディオでは、ジュエリーの新作もつくっているけれど、オーダーやリフォームもあえて受けています。
というのは、ジュエリーというものの最も大切な役割は、「想いをつなぐ」といいことだと理解しているので、ブランドとしてのデザイン性の方向性や、コンセプトが崩れるなんて、どうでもいいことだと思える。

だいたい、愛着のあるものには、どんなに有名なブランドの優れたデザインだろうと、仕事が良かろうと、勝てるわけがない。

ジュエリー カスタム・オーダー、リフォームの難しさ

実は、お客様が持ち込んだ一つ一つの石や素材に合わせてデザインを起こし、実際身につけられるものにし、コストを調整するのは、至難の業である。
何しろ、一回のオーダーで2-3枚のデザインは起こすし、持ち込んだダイヤなどの素材もなるべく使って、デザインの希望にあわせて、引き算をしたり、足し算をしたりしながら考えていかなければいけない。

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しかし、必ずデザインを提案する時に1つは少し冒険的なデザインを提案することを心がけています。
それは、別に奇をてらったものではなく、石留めがアクロバティックで横から石が見えたり、金属の表面のテクスチャー(加工)を施すことによって生まれる質感を表現したり。
シンコーストゥディオのカスタムオーダーについて

歴史と既成概念を壊してみること

古いものの中にも、これから未来を見据えた、新しい息吹を取り込みたいという気持ちがあります。
引き継いできた歴史と、既成概念を壊して進んでいく力を、ジュエリーに落とし込みたいのかもしれません。
そして、全てを包み込むやさしさと。
私のジュエリーに対する理解は、そういうものなのだけれど、皆はどう思っているのだろう。

そして、私たちがつくったものが20年、30年後に断舎離で捨てられているとしたら、それは私たちの力が及ばなかったので、潔く捨ててもらおうと思う。

 

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