昨日は2つのエキジビションに行ってきました。
一つはパナソニック汐留ミュージアムで開催中の「AMBIENT」深澤直人がデザインする生活の周囲展
もう一つが
日本橋三越で開催されている第64回日本伝統工芸展
この2つの展覧会は全く共通点が無いように思われるかもしれない。
深澤直人といえば、海外での評価も高く、日本であれば無印良品やTOTO, パナソニック、セイコーなどの最先端のプロダクトデザインをして来た人物。
一方伝統工芸展は日本の昔からつながって来た技法を駆使した、どちらかと言うと古典的なものの展示です。
ジュエリーに関わる私が、なぜこの2つの展覧会に行くかといえば、もちろん「好き」というのが一番にあり、なおかつ、どちらの展覧会も、ジュエリーにつながっていると考えているからです。
深澤直人の思想
私はデザイナーではなく、どちらかと言うとプロデュースをするほうなので、デザインというものに対して、あまり真剣に考えてこなかった。
でも、深澤さんの著書や活動、デザインを見て来て、「デザイン」というものがなぜ必要なのか?「デザイン」とは何なのか?を考えさせられました。
深澤直人さんのデザインの根本は、「ものはただそこにあればいい。」
その環境になじんでいること、自然であること。
それが “すぐになじむ(ノーマル)”上に、“従来のものを超える(スーパー)”という「SUPER NORMAL(スーパーノーマル)」という考えであったり。
「WITHOUT THOUGHT」
「考えない」ということ。
そこにあるのはあるべき本来の物の姿。 万人が考えないで行動することの中にこそデザインの本質がある。行為そのものがその行為を導き出した関係性を示し、それが具体的なデザインとなる。
そんな言葉に集約されているのではないかと思います。
日本伝統工芸展
日本伝統工芸展は国内では最大規模の公募点で、陶芸・染色・漆芸・金工・木竹細工・人形・その他諸工芸の日本の今活動する、工芸家たちの凝縮した作品が発表されます。
こちらは一部の興味のある人たちしか知らないと思うのですが、実に美しく、創造性溢れるものが多数展示されていました。
その、精緻さ、感性は日本起源ならではと思ってしまいます。
そして、かなりアーティスティックな造形や古い技法を使いながらも、新しい仕事に挑戦していっています。
人生と、どうやって「もの」が寄り添ってくれるか?
この2つの展覧会。
正直なところをいえば、展覧会の質は「日本伝統工芸展」に軍配を上げたくなった。
全国から、工芸家が1年に一回のこの工芸展めがけて、作品をつくってくるのだから、深澤直人一人では、やはりちょっと太刀打ちは無理だったかもしれない。
その技、美しさはプロダクトデザインでは、なしえない人の手の魔法。
でも、今、ジュエリーも含めて、こういった精巧な、比較的高額な仕事に対する評価が高まらない。
わたしが思うに、たぶん、この工芸の作品をどういう風に置いたらいいか?使ったらいいか?いつ、どこで、何のために?という提案が足りないのかもしれない。
人生と、どうやってこの「もの」が寄り添ってくれるか?
高額であればあるほど、問われていることだと思う。
易しい言葉で、自分目線で。
私が最近、思っているのは専門家目線でものを述べる必要はないということ。
アートの世界や、工芸の世界。
ジュエリーであれば職人の世界は、私はものづくりができないので、口を挟むべきでは無いと、ずっと思ってきた。
また、つくる本人ではないから、その気持ちや感性はわからないので言及すべきでもないとも思ってきた。
けれど、
なにか違うと。
アートや、工芸、ましてやジュエリーはつくる人の為にあるわけではない。
だから、素人の私が感じるままに、意見を言ってもいいのではないか?と
わからないものは、わからない。
自分の琴線に触れたものは良いと。
わかり易い言葉で、自分目線でちょっと話してみよう。
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