刀の目貫- 打ち出しという技法

先日、工房フィーゴにうちの新人とご挨拶に伺いました。
その際、とても貴重な品々を見せて頂き感激。
工房フィーゴの坂元さんはずっとうちの仕事をして頂いている職人さん。
師匠というのにはおこがましいですが、そう言いたいぐらい人生の先輩として尊敬出来る方であり、職人の仕事とはどういったものかを教えてくれた人です。


毎回、伺うたびに貴重な仕事を見せて頂くのですが、今回は様々な打ち出しの技術を駆使した江戸末期から明治・大正・昭和にかけての逸品を見せていただきました。
そのような貴重な作品が、紙箱の中にじゃらじゃらとあるのです。私も見せて頂いた時点では勉強不足で、その有り難みが全くわかっていなかったのですが、後で調べてみると、その金工師の作品は、国立博物館にもしっかりあり、骨董としても出回っていることを知りました。
本当に勉強不足で申し訳なかったと反省しています。
桂光春のひよこの打ち出しの名品。

桂光春1871-1962年(明治4年-昭和37年)は大正から昭和にかけて活躍した人物で帯留めや小金具などをよく作ったそうです。
桂 光春

次に海野盛寿1834-1896(天保5年-明治29年)の不動明王の打ち出し。

海野盛寿
日本の打ち出しは、西洋のそれと違い裏からは叩きません。
表から打ち出していき立体感を出すのです。それは、裏まで美しくという、日本の職人の憎いまでの心意気。
そしてこれらの打ち出しの技術が、パリ万博などで世界に広まり、むしろこの打ち出しや地金に色を付けるという技術が西洋人を驚かせ、アール・ヌーボーやアール・デコといった芸術活動に影響を与えたのだと、坂元さんは話してくれました。
だからジュエリーは決して西洋文化だけのものではないということも。
深い話しでした。
もっと勉強しなければ。
こんな素晴らしい心を打つ仕事が日本に伝承されている事を勉強し、少しでも知ってもらいたいと思いました。
最終的にはそれが日本のジュエリーの根っこなんだから。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

Top