ジュエリーというと、西洋から来たものだという認識が、一般的な見方だろう。
確かに、ダイヤやルビー、エメラルドのような石をはめられたジュエリーというのは、確かに西洋社会からきたものだ。
でも一方で、日本には、刀の鍔(つば)や甲冑などに金属の装飾をする刀剣金工の高度な技術と、豊かな感性があったのです。
更にかんざしや、根付、印籠といったものをつくる飾り職人という人たちもいた。
この歴史は、長く、その感性と技術は深いと、私はすごくかんじています。
明治になり、廃刀令が施行されて、刀剣金工の仕事がなくなると、彼らは仕事をジュエリー制作に、あるいは金属工芸の分野に転換していった。
明治期の、元刀剣金工の人たちの活躍は、目覚しく、パリ万博などでも賞をとったり、高く評価された。
ヨーロッパの人たちにその精緻な技術と感性に見せられ、ジャポニズムの流行が到来したのだ。
今、あべのハルカス美術館で開催されている「驚異の超絶技巧!明治工芸から現代アートへ」 でその仕事を見ることができる。
そして、それに触発されて、新しい道を探っている若いアーティストの作品の圧巻です。
そんな歴史を持って、明治以降出来上がってきた日本のジュエリー。
私には、今だからこそ、西洋からの視点ではないジュエリーが必要なのではないかって思える。
産業革命以降に近代国家が歩いてきた、道のりと、また違う感性で、
新しい、コンテンポラリーな感性で、
古いしきたりや、慣例を穏やかに、軽やかに突破していく力があるように思う。
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