日々の生活にこそ、豊かさがある
朝起きる、朝日を浴びる。
朝食の用意をする。
ご飯を食べる、
洗濯をする、掃除をする。
仕事に行く…
日々忙しく過ごしていると、こういう面倒な一日の作業をふっ飛ばしたくなったり、やめてしまいたくなる。
私自身も、仕事をしながら子育てをしてきたので、朝はとにかく戦争状態。
一分一秒たりとも時間がなかった。
最近、少しずつ感じているのが、こういう生活もあながち間違いではなかったかとも思う。
忙しい時間のなかでこそ、日々つくる家庭料理や、日常に使う器、雑貨にちょっとした楽しみや喜びを感じていたのかも知れないと、それが人の幸福感の本質ではないかと、思い始めています。
ちょっと自分でつくってみる。
ちょっと気に入った湯のみでお茶を飲んでみる。
一手間なのですけれど、そこに感じる喜びというものが、ひどく豊かな感じがします。
日々の生活の中に、上質なものをもぐりこませてみる
たとえば、ちょっとだけ花を飾ってみたり。
節目節目の日本古来から伝わってきた行事などを、祝ってみたり。
そこには、自分のアイデンティティみたいなものが反映されて来るだろうから、とてもすてきだ。
それを、随分と昔に提唱している人がいて、日本の「民藝運動」を引っ張った柳宗悦。
日本民藝協会
「用の美」という言葉で、「日々の生活に使われるものにこそ、本当の美しさがある。」という考えを、1926年にお始まった民藝運動を通して、提唱していた方です。
これって、もしかしたらジュエリーにもつながるのではないかな?
日本のジュエリーは、元々刀の鍔(つば)などの装飾をしていた金工の仕事をしていた人たちが、ジュエリー製作の道へ進んでいったという背景があります。
だから、私はそこにどこかしらアイデンティティを感じるジュエリーづくりがしたいと、そんなことを考えている。
ジュエリーは思った以上に、職人の技術や創意工夫が必要なもの。
しかも、何年たっても仕上げ直しや、修理ができるのが基本。
ずっと身につけていられる。
「丁寧に日常を生きる」
今回の新作のテーマです。
ジュエリーと日常はつながらない。
ジュエリーは非日常のものと思われている。
そうではなく、「ジュエリーも日々の生活に身につけてこそ意味があり美しい。」と思う。
そういう、社会でのイメージや考えを、少しずつ少しずつ変えて行きたいと思っています。
そのために、日本のものづくりや、アート、デザインの力が必要なのかと思います。
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