ジュエリーというものについて-外国人顧客から教えてもらうこと

商店街の一ジュエリーショップ

ここのところ、とても外国人のお客様が多い。
昨日もドイツ人の男性にご来店いただきました。
うちにいらっしゃるお客様はとても不思議な感じです。
いわゆる、観光客ではなく、日本に住んでいらっしゃる方が多いのですが、一言で言うと人としての温かさを感じます。

これは、結婚20年の記念にシンコーストゥディオのShinogi[鎬]というリングをご発注いただいたお客様のもの。うちのFBページに素敵な投稿をしてくださいました。
彼らはかなり収入もあり、港区あたりのいい場所に住んでいたりするのですが、各駅しか止まらない小田急線の千歳船橋のお店に来てくださる。
私が言うのもおかしいですが、「いや彼らは偉いなあ、よく来るなあ。」と関心します。
実際に来てみると、小さくて、思い切り商店街の中の宝石店で、そこに宝石屋のおばちゃんがいるから、少々引くのではないか?と思うのです。
しかし、せっかくここまでやって来たのに…と思って勇気を振り絞ってお店に入ってみるのかしら?

シンコーストゥディオ

ちなみに私には留学経験も無ければ、海外渡航経験もかなり少ないので。英語にはかなり苦手意識があります。

外国人のお客様へのアプローチを始めたわけ

10年ほど前から英語をウェブサイトをつくったり、時々インターナショナルスクールのイベントに参加してみたりしていました。
なぜそんなことを始めたのかといえば、
日本のジュエリーは西洋ジュエリーのフェイクではないということを、伝えたかった。
明治初期、大名に抱えられて刀の装飾の仕事をしていた金工の職人たちが、廃刀令を境にジュエリー製作に仕事を転換したという歴史があったからです。
(詳しく知りたい方はこちらをお読みください
そういったバックボーンは本来、日本人にこそ伝えるべきなのでしょうが、色々チャレンジしたけれど中々伝わらない。
これはもう、日本人以外の人たちに伝えるところから始めるしかないと思いました。
しかし、もちろん、海外に進出する資金も度胸もないし、経験もない。そこでおのずと、近場の日本駐在の外国人の方々に、アプローチを始めたのです。

外国人顧客も日本人顧客も求めているもの

10年近くして、今感じているのは、外国人顧客も日本人顧客も、好みの違いや文化の違いはあれど値段や表面的なデザインだけを求めているわけではない、ということです。
結局は、きちんとしたものをつくり、今の社会の人たちが感じている何かを察知して、新しいことに挑んでいく姿勢。または、人として真摯に付き合っていく、そういう当たり前のことが大切なのだと感じています。
そして今、ジュエリーというものが「成功した、幸福な方のためだけ」にあるものだという考えも、改めなければいけない。
ジュエリーを「つくる」「売る」ということは、その方の人生や歴史に寄り添う覚悟が必要なんだ、甘くないなと思うようになりました。

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