おせち料理を作る
昨年は母が亡くなって、父は一人でお正月を迎えている。
本当のことを言えば、母が亡くなった後、父のところにもっと頻繁に行ってやらなければいけないのだが、仕事の忙しさを口実に実家に行くことは少なかった。
その償いと言うわけではないけれど、ここ数年続けているのがお正月のおせち料理を父に送ること。恒例になっている。
大晦日の午後にならないと中々時間が取れないので、年明け直前までに作って、元旦の午後に着くように送る。
たいしたおせち料理ではなく、そんなに品数は多くないけれど、結婚し、子供が出来て、数十年、母から伝授された作り方を元に毎年作り続けて来た。
家族にも、色々な方にも、「買えばいいのに。」と言われてきたが、なんとなくやめられなかった。
おせち料理を作るのが、家庭的だとか、いい事だとか、そういった外的な要因はどうでもよく、自分の中にある何かがそうさせていたような気がするのです。
料理の中に母の存在がある
母が亡くなって、強く感じるのは、この料理の中には母の存在があるということです。
母の醤油加減、塩加減、作り方。
食事というのは、日々の営みの1つだから毎日毎日積み重ねるとすごい影響力を持つものなのだと実感する。
さらに、こういった「晴れ」のときの食事は格別で、毎年同じように、同じ味を重ねていく。
日本文化を残すとか、つなげるとか、大きなことはわからない。けれど、おいしいもの、自分の慣れ親しんだ味がそばにあるというのは、じわっと幸せな感じがするのです。
たぶん、この味には祖母やもっと前の祖先の味が繋がっていると思うと感慨深い。
一方、手伝わされる息子は「いい加減、作るのやめたら?」といいつつ、昨日も芋を裏ごしていた。
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