INTERVIEW2015.10.22
平澤祐子さん
外資系臨床開発会社・総務部勤務
私は「ただの総務のおばちゃん。」
電球が切れた、郵便を配ってくれ、宅配便を受け取って・・・。 そんなこともしながら、一方で海外からの来客のアレンジや上司との対話、海外との調整などを英語でこなす。そこには「最強の総務のおばちゃん」がいました。
取材は、多摩川の河川敷のサッカー場からスタート。平澤さんは、息子さんのサッカーチームの副理事もなさっています。
外資畑をずっと歩んで来られたんですか?
とんでもありません。大学を出て、日本の保険会社に一般事務職で入りました。ただ、普通の一般職です。特にキャリアのある仕事につきたかった訳でもなく。せいぜい27,8歳位までには結婚して、奥様になるんだろうなと思っていました。7年ほどで転職しました。たまたま紹介されて、外資系ソフトウェア会社へ入社。しかし、外国人が来ると逃げ回っていました。
辞める機会がなかったので、仕事を続けて来てしまった
結婚した38歳まで、20年近く働き続けてしまったので、仕事をするということが生活の一部になっていました。辞める選択肢がなかったのです。いつも、大変になったら辞めようと思っていました。結局、出産後も保育園も決まったし、主人も協力的だったし、やめる理由がなかったんです。
リストラにあって、最後にもう一度だけ仕事をしてみようと思った
その後、そのソフトウェア会社でリストラにあいました。それで、次の仕事が決まらず1年間無職生活。リストラ後、このチャンスを逃したら、就職する機会はもうやってこないだろうと思い、最後に一回だけ正社員をやろうと思いました。
怒濤の英語生活始まる
そして、今の会社を紹介されてまた総務の仕事につきました。しかし、そこからが怒濤の英語生活。上司が外国人で、海外から人が来るときアレンジがすべて私に来ます。上司は外国人なのでほぼ英語です。なんと本格的な英語での仕事生活は、40歳超えてからです。
40歳過ぎての仕事は、それなりの高いスペックを求められることを実感
リストラで職探しをしている時、その歳で求められる、スペックは高いという事実をつきつけられました。
「総務のおばさんって楽でいいんだけど、この先働くのであれば、ある程度プロフェッショナルであることを求められる。この歳で楽な仕事って無理なんだなあ」ということに気づいたのです。
何となく、流れで働いてきたので、心の中で葛藤がありました。私は片手間でいいやって思っていた。でもそれは無理なんだということに気づいたんです。
基本は「総務のおばちゃん」
グローバルのスタンダードと日本のやり方が違って、その調整が大変です。一方で、地味に郵便を配ったり、宅配便が来たら受け取ったり、そんなことも日々の大切な仕事なんです。
別に仕事に野心、活躍するという気持ちはなかったけれど、「普通の総務のおばちゃんより、ちょっと面白い仕事かなあ」と思います。でも、基本は総務のおばちゃんです。
ジュエリーは社会に出ていく時のオンのスイッチ
ジュエリーを選ぶ基準は、まず、着け心地が良いものを選びます。普段、家では一切ジュエリーは着けません。外に出て行くときに着けていく。社会に出て行くときに、着けるものでしょうか。
大切なのは着け心地と上質感
いつもシンコーストゥディオでつくったものをずっと着けています。このリングはいいですよ。
指に当たる部分が滑らかでなければいけない。ボリューム感と厚さがある程度欲しい。中心のダイヤもなるべく大きいのを入れたい。と色々な欲張りな希望のせめぎ合いの末、出来上がったのがこのリングなんです。
EDITOR'S NOTE
平澤さんは、働き始めた頃は全くキャリアを積もうとか、ましてや英語を使う仕事をするとは考えていらっしゃらなかった。でも、与えられたステージをひるまずに、一つ一つ誠実にやって来た結果が、今の仕事や家庭生活に結びついている気がします。
「私は基本、総務のおばちゃん」そう言ってしまえるところが本当に素敵だと思います。人という者は、年齢やキャリアを積んでくると、不要なプライドといわれるものがにょきにょきと育って来てしまってよろしくない。また、逆にこのプライドというやつをいつでも捨てられる覚悟があると言うことは、何も怖くないともいえる。いつでも、自分を「0」にもどして、どんな低いとこからだって、また始められるから。
結局、人生なんて偶発的に起こったもので、始まってしまう、そっちの方が大きいのかもしれません。家庭、その他全部含めて、定められた運命みたいなのがあって、人はとりあえずその中で生かされている。そこで、少しだけ踏ん張ってみる。自然体だけれど、芯の強さを感じる女性でした。
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