ブラジルの椅子
建築家・伊東豊雄さん、金工作家・鹿島和生さんのトークセッション
で書かせていただいきましたが、もう少しジュエリー・アーティスト・ジャパン(JAJ)で開催した、伊東豊雄さんとのトークディスカッションについて書いてみたいと思います。
建築家・伊東豊雄トークセッション 「日本のこれからのモノづくり -建築×ジュエリー×金属工芸」を金工作家・鹿島和生さんにも加わっていただき、4月11日(水)東京ウィメンズプラザで開催いたしました。
建築家・伊東豊雄さんは、ヴェネツィア・ビエンナーレ金獅子賞、王立英国建築家協会(RIBA)ロイヤルゴールドメダル、プリツカー建築賞など受賞している、世界的建築家です。一方で2012年に私塾「伊東建築塾」を設立。児童対象の建築スクールや、地方の島づくりなど、これからのまちや建築を考える場として様々な活動を行っています。
一方、鹿島和生さんは、日本の伝統技法、鹿島布目の5代目継承者として活躍しています。
伊東豊雄は闘う建築家だと思う。
大きなやさしさと、強靭な精神を持って、今の時代に建築で挑んでいく、その姿は私たちに勇気を与えてくれます。
モノづくりをしている私たちが、いかにモノづくりと向かって、生きていくかという姿を見せてくれているように思います。
(前回も述べていますが)
伊東さんは言います。
東京は、「安心」「安全」な都市を目指すという。
確かにそれは必要だろう。
けれども、反対から見ればそれは「四角箱に入っていなさい。そこから出なければ案心でしょう」と非常に管理された社会になっていないだろうか?
そして、人はそこから声を上げることも、疑問を持つこともしない。
リスクがないということは、冒険もない。
それでは人間として、最も死に近いところにいるように思える。
プリミティブな、動物的な感受性を失ってしまったら人間は終わりだ。
*プリミティブ (primitive): 原始的、素朴な
と、
「プリミティブな、動物的な感受性」
つまり、生まれながらの自分の感性や感覚で「面白い」とか「心地いい」なんてことを感じ取ることじゃないだろうか。だから、みんなちがっていい。
現代社会では、こういった感覚というのは、実に非合理的、ソフィスティケイトされていないといわれて、一蹴されてきた感がある。
けれども、私たちは、すごいスピードで進むグローバル経済の中に生きていて、情報過多の中判断のスピードを迫られる。そのときにこそ、この「動物的な感受性」というのが、実は必要な気がする。
また、モノを求める人の心の心地よさというのは、最終的には「プリミティブな、動物的な感受性」にある。
だから私たち、モノづくりに向き合い、提供する人間は、人にどれだけ寄り添い、何ができるか?という原点を考えながら仕事をしていきたいものだ。
そういう人たちが増えていくことが、何となくいい感じの世の中になっていくような気がするのです。
今回の伊東豊雄さん、鹿島和生さんのトークセッションを企画し、少しだけそういう心もちが伝わったような気がしました。
トークセッションの後は、なんと伊東さん、鹿島さん、伊東設計建築事務所の方も懇親会に参加くださいました。一人ひとりと会話を交わしてくださり、本当に勇気をいただく一日でした。
*このトークセッションの内容は、書き起こして後日公開いたします。
コメントを残す