来週行われる私が主宰するジュエリー・アーティスト・ジャパン(JAJ)のイベントで、日本を代表する建築家である伊東豊雄さんを招いてトークセッションを開催する。
このような個人で始めた活動に、来てくださるということは、それ自体がとてもありがたいことで、たくさん聞きたいことがある。
それに先立って、杉並区の舞台芸術の創造と発信、そして地域に根ざした杉並区の文化活動の拠点である「高円寺・座」を訪れてみた。
この建築は、60年代~70年代にかけてのアングラ劇団が「テント」という形をとった、そんなテントがモチーフになっています。
外観はまさに黒テント。
しかし、中に入るとなんだか、人の体内にいるような温かさ、柔らかさを感じました。
特に気に入ったのが、この階段の手すり。
ヘリがなく、触っていてとても手になじむ。
階段を上りながら、つーっと触っていたくなる。
このらせん階段に、「生物の形をつくりだす原理や地形をつくりだす原理を非建設的、非計算的要素を取り込んでいる」とつくづく感じ入ってしまった。
(ちくま文庫「建築の大転換」より)
闘う建築家・伊東豊雄
伊東豊雄さんは闘う建築家である。
経済優先の今の世界は、清潔できれいになった。
けれども、人々はただただ管理しやすい、従順に従う世界になっていないか?
自然や歴史などのその土地の風土や人に根ざした建築、モノづくりがされてきたか?
そこに人の幸せはあるのか?
ということを常に問いかけています。
それがあってこそ、この大きな包み込むような、安心感と安らぎの建築があるのです。
建築というモノを通して、あるときは社会の矛盾と強い意志で闘って来た伊東豊雄さん。
その闘う強い意志があってこそ、このやさしいモノが生まれるのだということを確信した日でした。
ジュエリーはどうだろうか?と考える。
本来は、ジュエリーも生きてきた人々の歴史に寄り添いつくられるモノ。
だから、日本人であれば、日本としての根っこがあるジュエリーをつくる必要があると思う。
建築もジュエリーも、したたかに現代社会の矛盾と闘う意志と、それをやさしく日常に落とし込むデザインの心と技術が必要なんだ。
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