新しいジュエリーをつくるということ- 「日本のいい仕事」という幻想を脱ぎ捨てる

1年ぶりに新作を発表することになりました。
しかし、とてつもなく、変な時期で11月25日(土)(24日金曜はプレス向け)。

この1年、新しいものを出そうと思いながら、色々な壁にぶつかって、考えて、また戻って、そしてまた試みるの繰り返し。

一番骨身にしみたのは、日本の仕事が崩壊しつつあるという現実。

わかっちゃいるけど、
デザインを起しても、クラフトマンから上がってこない。
一部の仕事のできるクラフトマンに仕事が集中してしまうのだ。

挑戦的な仕事をやろうと思っても、最初に色々試すには時間と根気が必要で、今日本のものづくりの現場にはその余裕がない。

どんなに技術が発展しても、最後は人間の腕なのです。
特にジュエリーなんてものは、最終的にどれだけ人が手をかけたか、情熱を注ぎ込んだかで決まってしまうものだから、ある程度の完成度にもっていくには、やっぱり人の力が必要だ。

「日本のいい仕事」という幻想はもう見るべきではない。
それを脱ぎす、「はてさてどうしようか?」とするところかは、新しいものが生まれる予感がする。

今回助けてくれたのは、ビジネスだけでは割り切れない日々の付き合いだと思う。
2012年にジュエリー・アーティスト・ジャパン(JAJ)という、若手のジュエリーのクリエーターのためのコミュニティを作った。

ジュエリー・アーティスト・ジャパン(JAJ)
このコミュニティには、アーティスト、クラフトマン、デザイナー、卸、小売、ギャラリーの人たちなど、色々な方が関わってくれていて、若手だけではなくそれをサポートしようとする業界の年長者の方々も関わってくださっている。
そこで出会った、アーティスト、クラフトマン、その他の人たちが動いてくれた。
信頼のおける、心の通じ合う、いい仕事をしてくれた。

お客様とアーティスト、新しい技術とつくる

今回の新作は3つのテーマに分かれています。

1つ目
オーダーやリフォームを受ける中で、お客様から多く支持頂いたデザインから、起したデザインリング。

2つ目
ジュエリー・アーティスト 五味和代とのコラボレイトのシルバーリングとペンダント。

3っ目は
3DのCADを使って、ワイヤーワーク的なデザインを対象につくり上げ、その細いラインを表現したピアス。

1つ目は、お客様と
2つ目は、アーティストと
3つ目は、最新のソフトや技術を使えるクラフトマンと創り上げた。

そして、やっぱりこの3っの最後には、人の手が必要でした。

街の小さなお店から発信するけど、ボーダレスな感覚

今回は世田谷のシンコーストゥディオの店舗で新作発表をします。

シンコーストゥディオは元々、世田谷は千歳船橋という、相当ローカルな場所にあるお店。

なんか、それでいいような気が年々して来ました。
高いものこそ、地元で、長く、信頼関係を築いているお店で買いたいんじゃないだろうか?

ここ数年、外国人のお客様もちらほら来てくれるようになって、結構高額品をご注文いただく。
日本人だけではなく、外国人でさえ、顔の見えるお店でジュエリーを買いたいと思っているということが肌でわかって来た。

この感覚というのは、不思議なことに、あまり国境がない。

ウェブサイト上で、自分たちの考えを読んで、デザインを見てから来店する人たちは、たとえ外国人でも、なんだか近所の人たちみたいだ。

ビジネスで付き合うという以前に、「人として付き合いたいんだ。それでモノが買いたいんだよ。」というメッセージではなかろうか。

今までは、そういった地元ビジネスは先駆的なデザインや、利益の上がるビジネスとは程遠いように思われてきたけど、本当にそうなんだろうか?

新しいデザインや、発想やモチベーションは、人が集まるところから生まれると考えている。
何も全ての設備が整った、都会のお金をかけた空間がそれを成し遂げられるかといえば、

たぶん違う。

まだまだ、やっとこの仕組みが走り始めたばかりで、最終的に買っていただいて初めて、仕事として成り立っていくので、この結末はわからない。

けれど、
こういう風に買いたい、
こういうものを買いたい、
人を通して買いたい。

それをシンプルに突き詰めると、こうなるんじゃないか?という形を、提案してみたいのだ。

新作発表は、アーティスト・五味 和代(Kazuyo Gomi)とのトークセッションを中心に、制作秘話なども交えて楽しく開催する予定です。

2017年シンコーストゥディオ新作発表会
「丁寧に日常を生きる」
 ジュエリーの役割を考えてみる

11/24(金)プレス向け発表会 PM15:30~
  25(土)お客様向け発表会PM16:00~
 ジュエリー・アーティスト 五味和代(Kazuyo Gomi)とシンコーストゥディオ・代表米井とのトークセッション
    「ジュエリーの役割」と新作制作の秘話
   五味和代(Kazuyo Gomi)
          ウェブサイト:https://www.strikingly.com/lavita53
           仕事をしながら、30代より彫金の制作を学び始める。
 Kazuyo Gomi ウェブサイトより。

私の作品の原点は素材の魅力を生かすこと。 その主役は金属そのものであったり、宝石であったりします。 金、銀、プラチナなどの、貴金属が持つ独自の色や仕上げにより現れる表情はとても魅力的であり、制作する上で重要なものだととらえています。

新作発表会については、またお知らせさせていただきます。

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