もはや立体造形ツールはコミュニケーションの一部

CADソフトは一部のプロのものではない、ということ

先日私が主宰するジュエリー・アーティスト・ジャパン(JAJ)で、「FUSION 360™でジュエリーデザインしてみよう」というセミナーを開催しました。すでに、ジュエリー制作の世界、あるいは金型などの制作に使われている3Dソフト。しかし、今この3D制作が一般の人たちの手に降りてきている。

今回のセミナーでは、発売元のオートデスク㈱FUSION 360™エバンジェリストの藤村祐爾さんと、同じくオートデスク㈱テクニカルスペシャルアドバイザーのお2人に来ていただき、3DCADソフトで、どんなことができるか、その未来についても話してもらうというセミナーでした。FUSION に限らず、その他Zbrushなどの立体造形ツールによって、私たちのコミュニケーションの方法が劇的に変わっていく、もうその動きはすごい勢いで進んで止まらないということを、実感する時間でした。

以前なら100万ぐらいするような立体造形ソフトがが、今無料で始められてしまう。その後も年間売上げ1000万以下の人は無料。また、ほぼ制作をクラウド上で行うので、皆で即座に情報共有が可能になる。3Dプリンターもどんどん性能が良くなり、値段が下がっている。出力センターも林立している。もはや立体造形をつくり、アウトプットしていくのが「プロだけのもの」とは言えないでしょう。

VR(バーチャルリアリティ)も対応

立体造形をデータ上でできてしまうということは、遠方の人でも、感覚のずれなく仕事や遊び、コミュニケーションがとれる。まず、今後は商品の販売ツールとして、VRが活用されるでしょう。立体で人に情報を伝えられること、共有できることの強み、そして何より楽しい。

コミュニケーションのツールとして一般化する

この3D化の動きに注目するのは、これが、これからのコミュニケーションの強力かつ、一般的なツールになるだろうと感じているからです。

以前は、データを送ってそれを相手が確認して、という流れを必要としていたのが、クラウド上で「ここがもっと、細いよね、もっと太いよね」と言いながらデータに手を入れることが可能になっている。そして、もっとソフトが簡単になって来て、データ入稿をして出力を頼めば、実際の立体になったものを、数日で手に入れられるようになるでしょう。

だからこそ人間のアイデアや創造性

しかし、結局その立体造形物をつくりあげるのは、人間であって機械ではない。そこには、絶対的な人間の情熱、アイデアや創造性が必要になる。今回のセミナーの目的の一つは、高価だった3Dソフトを個人で制作をしている、アーティストやデザイナーに使って欲しいという希望があったからです。

実は、今までは平面でデザイナーがデザインを起こし→データ制作をする職人がデータを起す。となると、実はデザイナーは立体になった時のことを、それほど深く考えなくても、職人に任せれば何となく出来上がってしまうというおかしな現実がありました。本来は、立体の細かいところまでデザイナーがデザインをつめ、更に技術的なところを職人とつめるというのが理想であると思っているので、もっとデザインをする側に勉強して欲しい。

また、自分でつくるアーティスト達も、とにかくCADのツールが使えるとどんどん世界が広がっていく。若い人たちには、分野を超えた活動をして欲しいと願っています。オートデスクFUSION360・エバンジェリストの藤村祐爾さん、テクニカルスペシャリストの佐々木秀成さんには本当に気持ちよく協力を頂いて。

こういう創造性に満ちた人たちと共に、ぱぱっとつながって、知識をオープンにしていくこと、利益はシェアしていくことで社会は動いていくのだろうと思います。

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