先日東京都美術館で開催されている「イサムノグチ」の展示に行ってきました。
イサム・ノグチは、日本人を父に持つアメリカ人で、彫刻家(1904-1988)。
おそらく日本では1970年代に有名になり、1988年に亡くなるまで、多くのパブリックアートや彫刻、プロダクトデザインを残した人。
ここ数年コンテンポラリージュエリーを通して、美大の学生や先生たち、その他アートに関わる人たちとつながることが多くなった。
そこで、感じるのはアート系の人たちにも2つの考えがあるということ。
一つは、「アートとは、あくまでも自分の中から発せられるものなので、社会とのつながりより、まず自分の中から発したものを大切にする。」
一方で、「自分の中から発せられるものだけれども、アートを持ってして社会との関係を築き、変えていこう。」
という考え方。
人が生きて行く上で、どちらが正しいかということはわからないけれど、
社会とのつながりや、社会を変えていこうとするアートこそ、本当のアートの力なのではないかと、
そこに、すごいエネルギーが生まれるような気がするのです。
確かに技術は大切だけれど、美大などのちょっと特殊なコミュニティに長くいるうちに、一般社会の人たちが何に苦しんでいるのか?何を変えたいのか?
そんなことに、鈍感になってしまっていないだろうか?
彫刻と社会の間に、新しい関係がつくりだされなければならない
イサム・ノグチは、アーティストながら積極的に紙をつかった「あかり」などの、プロダクト製品をデザインしている。
そのことに関しても「僕の作品は高くて一般の人は買えない。だからこそこういう一般の人たちが買えるものをデザインすることはとても重要なんだ。」
「彫刻と社会の間に、新しい関係がつくりだされなければならない。」
と話していた。
そして、様々なパブリックアート(公共の場で展示されるアート)。
いつも社会との新しい関係をつくりだすことを、考え続けていた。
そこが、彼の作品が今でも評価される理由なのかもしれません。
今アートに取り組んでいる人たちに、「社会とのかかわり」について、考えてもらえたら日本はもっといい国になると思い、願います。
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