金属工芸とジュエリー- 鹿島象嵌(ぞうがん)の工房から

象嵌(ぞうがん)って何?

「ぞうがん」って時々聞くけれど、いったいどんな技法だろうか?

ジュエリーと工芸の金工の仕事は実は表裏一体。
特に日本のジュエリーは、刀の鍔(つば)の装飾や簪(かんざし)、根付などの飾りの仕事をしていた職人が仕事を転換して、始めた歴史があるのです。
刀の鍔、簪などにも、象嵌はなくてはならない、技法でした。
日本の金工の技法は、金だけ、シルバーだけというのではなく、そこに金属の色見の表現というのがとても豊富だったのです。

デンマークからの留学生が鹿島象嵌の鹿島和生先生のところに勉強に来ていたので、
江戸時代から続く鹿島象嵌(かしまぞうがん)5代目継承者、鹿島和生先生の根津にある工房に伺ってきました。
異分野の私をいつも温かく受け入れてくださいます。

象嵌とは象は「かたち」、
嵌は「はめる」
と言う意味。

一般的な象嵌は、色の違う地金をはめ込むので、はめ込む部分を同じ形に彫りこんで、そこに板を打ち込んでいきます。

鹿島象嵌は布目象嵌という技法に属し、金属の表面に 目切り鏨(たがね)で細かく筋(目)を刻み、その上から薄い別の金属箔を押し付け定着させる(はめ込む)方法です。
動画では、細かい目を刻みいれています。

その中でも「鹿島布目」は初めて、鉄以外の金属に象嵌を施す革命的な技法でした。
鹿島象嵌は常にイノベーションの意識が高く、時代と共に進化して来た技法です。
現在の継承者鹿島和生先生も、非常に新しい感覚の持ち主で、海外からの留学生を受け入れたり、学びたい人にはどんどん自分の技術をオープンにしていっています。

鹿島和生先生の情報はこちらhttp://galleryjapan.com/locale/ja_JP/artist/3412/

ちょうどデンマークから勉強しに来ている留学生が難しい技術に取り組んでいました。
彼は普段はジョージ・ジャンセンなどの仕事をしている、優秀なシルバー・スミス(銀器からジュエリーまでつくる、クラフトマン&アーティスト)。

これはまだ、試作ですが、銀に銅や金を象嵌しています。

こういった、日本伝統の金工の仕事が、かえって今、モダンに感じる。
それは、華美な装飾を廃した、現代社会のシンプルな生活にとてもあっている。

また、こういう、下町の小さな工房に世界中から学びたい人が集まっている、拡がっているということが、足が地についている気がする。
そして、決して過去の複写ではなく常に進化を忘れない鹿島先生の工芸に対する向き合い方が、とても潔い。

本物の仕事というのは、美しく、あたらしく、おもしろい。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

This site is protected by reCAPTCHA and the Google Privacy Policy and Terms of Service apply.

Top