シンコーストゥディオのコレクションNigiwai[賑] K18の表面に細い細い線を引いて、交差させている。
こういった金属の表面の表現とういうのは、とても楽しい。
金属なのに、布地のような柔らかさを感じませんか?
「このテクスチャーは、刀の鍔(つば)などに、金工師が施していた技法を転用したもの…」とこの表現を提案してくれた職人さんはいいます。
日本のジュエリーの歴史は、明治になり廃刀令が施行され、刀の鍔や武具などの装飾をしていた、卓越し技術と感性をもった職人たちが、仕事を転換したことに始まります。
かれらは、鏨(たがね)という日本の金属加工には欠かせない工具を巧みに使って、様々な表現をしていました。
平らな板から立体をつくる。
模様を彫る。
テクスチャーをつける。
この鏨(たがね)には相当の種類があり、また、職人たちは、その先を自分のつくりたいものにあわせて、つくっています。
実は、この「鏨をつくる」という技術が仕上がりを決定付ける。ひいては芸術的な表現の幅をぐっと押し広げているともいえるでしょう。
鏨では、たとえば下の写真のような刀の目貫(めぬき)など、立体的なものをつくっていくことができます。
*目貫・・・刀の持ち手のところにつけられる、細工。
古い技術と思われているかもしれませんが、
日本では、この側面のダイヤのように、埋め込むタイプの石留めは「彫り留」と言い、日本の鏨をつかって留められています。
そして、和彫り
西洋は石が中心であるなら、日本は金属をいかに表現するかを追及してきた文化だったように思います。
私は、今この感性や感覚がとても時代に求められている気がします。
高価な石より、むしろ人の創造性や緻密な技術、またはそれに伴った情熱みたいなものに。
さらに日々の生活に何気なく出来る。
そしてなにより、美しい。
日本発の仕事をするならば、金属の表現にこだわって行きたいと思っています。
コメントを残す