飛騨の古民家
「クールな田舎をプロデュースする。」を合言葉に飛騨古川を中心に展開しているSTOYAMA EXPERIENCE(里山エクスペリエンス)。現在インバウンドの個人観光客の成功例として、社会から注目を浴びています。
STOYAMA EXPERIENCEが運営している古民家のホテル、「板倉の宿 種蔵」に泊まってきました。
里山で何もないことを楽しむ
この種倉集落は20人以下の人口しかいない、いわゆる限界集落です。
「ここに宿泊施設を作ることによって、この集落を活性化したい。」というミッションをもって、この種蔵の古民家のホテルが出来上がりました。
私は、この集落のほぼ中心に位置する小高い丘の頂点に登り、一時間以上でしたでしょうか?
そこにただ、佇んで山の形、風によってどんどん変わる雲の様相をずーっと眺めていました。
東京にいるときは、日々の時間や仕事に追われ「頭を空っぽにする」という時間をなかなか持てない。
こういう時間を「無駄」として切り取ってしまっているのです。
今回は下の息子が高校を卒業し、同行するものがいないほぼ一人旅に近い状態でしたので、この「里山でなにもしないこと」を楽しめたと思います。
里山と日本のもの造り-ジュエリー
一方で、おそらく日本にはどれだけの数のこういった集落があり、同じ問題を抱えているのだろうか?それは、なにもこの里山に限ったことではなく私が携わっているジュエリーをつくり上げるという仕事にも共通しています。
確実に、ジュエリーの製作に関しても若いクリエーターが減ってきている。クラフトマン、アーティスト、デザイナー。
長く培われてきた、もの造りのノウハウが引き継がれなくなっている。
そういうことが出発点となり、一人ではじめたのがジュエリー・アーティスト・ジャパン(JAJ)という活動です。
ジュエリー・アーティスト・ジャパン(JAJ)
元を正せば、少しずつクラフトマンが老齢化してきて、なかなか完成度の高いものが一回で上がって来なくなった。
そして、一方で人の心に寄り添えるような意味のあるデザインや価値のある売り方をできるのだろうか?と、何度も自問自答し、そうしているうちにきっと人材はいるのだけれどその人たちの力を活用できていないのではないか?という気がしてきました。
じゃあ、「人を集めるところからやってしまおう!
まあとりあえず。
そして、それをシンコーストゥディオだけの資産にしてしまうのはもったいないし、ジュエリー業界はもちろん、業界を超えた人的共有財産になったらいいな?と考えてやっているのが、この活動です。
ジュエリー・アーティスト・ジャパン(JAJ)
正直、この活動の話に色々なところに行くと、「米井さんがやっているのはボランティア?お金にならないのになぜやっているの?」と不思議に思われたり、何かを押し売りされるのでは?と明らかに嫌がっている人など、様々な対応を受けることも。(笑)
しかし、人と人との繋がりは不思議なんですね。
なんだか、色々な化学変化が起こってくる。
これは
里山の復興にしたって、ジュエリーのもの造りにしたって、結局べたべたした人と人とにつながりから、さまざまなアイデアが生まれたり、いい仕事につながったりしているんだと感じています。
アーティスト&クラフトマンとコラボレーションのジュエリー
そして、5月末に発表したのが、Surface[面と線]のペンダント、ドイツで活動している、日本人のコンテンポラリー・ジュエリー・アーティストの西林佳寿子と、若手クラフトマン、そしてデザイナーのコラボレーション。単純な正方形・長方形・楕円形の線を組み合わせています。この組み合わせの角度や方向性等に相当のディスカッションを重ねたことか。
キーワードは「多面性」「多様性」。
物事は別の角度から見ることで、ハッとした驚きやとんでもなく新しい世界が広がってくる。
というメッセージをこめて、内側のみがキラっと光るジュエリーです。
創った人間たちの想いや願いが深く反映されたものです。
でも、そんな重たいメッセージはに受け取る必要はないのです。
それがジュエリーの力というものかな。
ただ形がきれい、光がかっこいい。
それでいいよねって思います。
声高に、主張するのではない。
けれど、色々な願いがこもっている。
ものっていうのはそういうものだ。特にジュエリーはそういうもの、そうあり続けたいですね。
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