プロダクトデザインと日本の工芸、そしてジュエリー制作はつながっているということ

プロダクトデザインと金工

ジュエリー・アーティスト・ジャパン(JAJ)
2012年に私が始めた、ジュエリーのクリエーターのためのコミュニティです。
先週の水曜日、表参道の東京ウィメンズプラザで「プロダクトデザイナーの視点とプロセス-プロダクトデザインは日本の工芸とつながっている。」と題したセミナー&交流会を開催しました。
2017/8/30 ジュエリー・アーティスト・ジャパン セミナーステップ・ワン代表取締役/元TOTO U.S.A.チーフデザイナーの垣花創(はじめ)さんの講演で、「デザイン」というものが、どういうものか?というお話をいただきました。

今回、この垣花さんにお話をお願いした背景には、わたし自身が以前からプロダクトデザインは日本の工芸はつながっていると考えていたからです。
金工という仕事を挙げるとするならば、江戸時代の刀の鍔(つば)の装飾や、簪(かんざし)。
鍔(つば)は、本来は機能性に特化されたものだったものが、江戸時代に入り実戦で使うことが無くなりあした。
より装飾に特化するようになり、プロダクト的な意味合いから、工芸品としてのものに変化してしまったものといえるでしょう。

その刀の鍔や簪などをつくっていた、金工師たちが明治期になると、廃刀令により工芸品やジュエリーを制作するようになったのです。

2017/8/30 ジュエリー・アーティスト・ジャパン 目貫2017/8/30 ジュエリー・アーティスト・ジャパン 目貫

 

垣花さんをはじめ、プロダクトデザインをする方も、工芸や民藝品に関しては深い興味をもっていて、東京・駒場にある日本民藝館の館長は、世界的プロダクトデザイナー、深澤直人さんです。

深澤直人「デザインというものを考える前に」

ジュエリーとプロダクトデザイン

今回は、ジュエリーを制作する人、あるいは販売に携わる人に向けて、その思考の方向性を学んでもらいたいと思い、垣花さんにお話を頂いたのです。

垣花さんの話によると「デザイン=イノベーション」と言います。
つまり、社会の問題点をすくい取って、それを新しい価値をカタチにすることによって、一般の人にわかりやすくすること。それがプロダクトデザインだといいます。

カタチになるのは最終的に目に見えるものになるだけで、そこに至るプロセスや最終的な伝達方法までもがデザインだと、そういうお話でした。
日本のジュエリーで、「デザイン」というものを真剣に考え、落としこめているジュエリーがどこにあるだろうか?と考える。
毎日身につけるジュエリーだからこそ、社会の問題意識と、機能性、デザインが落とし込まれている必要を感じます。

分野を超えたつながりから、新しい動きが生まれる

このセミナーは、今回オープンイベントにしたためか、様々な人たちが集まりました。
ジュエリー業界とは別に、百貨店のバイヤーさん、音楽業界の方、弁理士、金工作家、美大の助手の方など多種多様でした。

2017/8/30 ジュエリー・アーティスト・ジャパン セミナー

新しい動きというものは(これもイノベーションでしょうか?)、業種や分野を越えたつながりの中から生まれるような気がしています。
私はデザイナーでも、アーティストでもないので、正直デザインについて話すのは恐れ多いのですが、こういう場を作るというのも、1つのデザインなのかも知れないと。

そんなことを思い始めています。

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