先日、筑波大学大学の三谷純先生の折紙の講義とワークショップをオンラインで見ました。
『数学×折り紙×アート〜曲線で折る折り紙~』
三谷先生は、本来コンピューターグラフィックが専門ですが、一方で折紙の研究やソフトウェアを開発。
アーティスティックな新しく、美しい折紙を発表しています。
ワークショップの中で何度も言っていたのが、
「コンピューターで設計をしたとしても、最後は紙を手で折る感覚を大事にしてほしい」という言葉。
自らコンピュータの技術を使って、ソフトウェアを公開したり、あるいは自分の設計した折紙の展開図を惜しげもなくネット上で公開しています。
デジタルの仕事を受け入れる
コンピュータグラフィックなどの世界では、デジタルは当たり前だけれど、実社会ではデジタルを受け入れる下地がまだまだできていないかもしれない。
例えばジュエリー制作でいうなら、どんなアーティストでも、デザイナーでも、CAD(コンピューター立体造形システム)を取り入れることで、新しいアイデアやデザインが生まれてくると思うけれど、中々難しい。
デジタルは立体デザインには欠かせないと思う。
けれども、ジュエリーの業界では、CADは職人やオペレーターが使うものという固定観念があるのです。
それは、「デザイン」という、社会の要求や問題を形にするという発想が、生産効率だけを追求したものづくりに抜け落ちているせいかもしれない。
デジタルが、生産効率や正確さのためにだけあると思ったら、それはちがうと思う。
最終的に身に着ける人に向き合うためには、立体でデザインを起こし、3Dプリンターで出力確認し、デザイナーが時間が許す限り、自分の感性が発揮できるまで、ラインを描き替えていく必要がある。
それは、ジュエリーの様に、一つのデザインが小ロットの場合、かけた時間がコストに見合わないという現実はあるけれど。
デジタルは、人の創造性や感性を表現したり、共有するために、今はなくてはならないものだと感じる。
最後は、手仕事
とはいえ、デジタルを活用しつつも、最後はやっぱり職人の手仕事だと思う。
デジタルの仕事に、人の心や感性をさらに吹き込むのが、最後の「手の仕事」です。
彫をする、石留をする、磨き上げる、テクスチャーを施す。
この一つ一つが、一人ひとりのクラフトマンの感性や情熱で、まったく違ってくるのです。
こんなアクロバティックな石留をどうやってしたのだろう?
とか
この美しいテクスチャーや彫を手仕事で、ここまで精密にできるのか?
という驚き。
その人間の魂が宿った、手仕事が、モノを輝かせる。
だから、アナログだけでもダメだし、一方でデジタルだけではもの足りない。
最後は手の感覚を大切に…
デジタルも手仕事も、そこに「心」がそこにあるかってことかもしれない。
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