クラウド社会のなかで、圧倒的リアルなジュエリーの石留めという技術

「実感」でしかジュエリーの技は学べない

「昔は仕事は見て覚えろ。」と言ったものだが、昨日の石留めのセミナーでなるほどと実感した、。

私が主催するジュエリー・アーティスト・ジャパン(JAJ)では、若手のクリエーターに向けて度々勉強会を続けています。

今年はより実践的な事をしようと様々なテーマで勉強会を開いています。
昨日開催したのは石留めのセミナーでした。
ジュエリー・アーティスト・ジャパン(JAJ) 2017.5.17 石留めセミナー
石留めと言っても、爪で留める石留めではありません。
金属に下穴を開け、石を落とし、その周りの地金を鏨(たがね)などで打ち、爪を出し彫っていくという技法です。
その中でも石の留め方はいくつかあるのですが、今回セミナーで学んだ石留めの方法「彫り留」で一般の方がよく見るのは、下のようなダイヤモンドの石の留め方かもしれません。

Isagi[潔] Pt900/K18ダイヤモンドリング SHINKO STUDIO

日本の職人は、江戸時代の金工の仕事を基本にしているので、日本古来の道具「鏨(たがね)」と「小槌(こづち)」を使って石留めしていきます。

Shinogi[鎬] K18/Pt900ダイヤモンドリング SHINKO STUDIO シンコーストゥディオ

今回は、製作はしているものの、石留めはほとんどやったことが無いという人たちが多かった。
ジュエリー製作の世界では、彫り留という石留めとジュエリーの造形をするクラフトマンとでは、完全に分業になっています。

ジュエリーのものづくりは、クラウド世界の対極

スマホの普及でさらに拍車がかかったウェブクラウド世界に生きる私たち。
一方で、圧倒的な「実感」でしか習得できないジュエリー製作の技。

ジュエリー・アーティスト・ジャパン(JAJ) 2017.5.17 石留めセミナー

リアルに触れるものが、少ない今の世の中。
金属の板に穴を開ける、調整しながらコンマ何ミリの世界でに石を落とし込んで、回りの金属をヘラや鏨(たがね)でならしたり彫ったりして留めていく。

金属の硬さ柔らかさ、ちょっとした工具の先の調整。
角度や力の入れ方、などによって、きれいに石が留まるかが決まる。

触った感じ、金属を彫る音、目での確認。
人の生まれながらに持っている感覚を研ぎ澄まして、仕事にかかる。
この絶対的なリアル感はある意味、今の世の中では驚きに値するかも知れない。
真剣なまなざしは、ものをつくる一つ一つの作業に魂が注ぎ込まれるような気がします。

昨日は、ジュエリーというものづくりが、とても足に地が着いている気がして、
こういう人たちと一緒に集えることが、なんだかとても誇らしい日でした。

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