Craftsman
内田 岳志Takeshi Uchida
ジュエリークラフトマン。一級貴金属装身具製作技能士。技能グランプリ、JJA ジュエリーデザインアワード等受賞歴多数。
新潟にある彼のアトリエは、道行く人がつい見落としてしまうぐらい、こぢんまりとしている。
けれどいったんアトリエに入ると、まるで玉手箱のようにジュエリー製作に必要な工具や機材で埋まっている。
やすりや糸のこ、鏨(たがね)七宝技法に使う釉薬(ゆうやく)などがあるかと思えば、レーザー溶接機や顕微鏡、3Dプリンターもある。
シンコーストゥディオの仕事の中でも、高度なテクニックを必要とするコレクション、カスタムオーダーなどの一点ものの仕事をしている。
彼の仕事の高度な技術や丁寧さは言うまでもないけれど、仕上げてくるときのラインの美しさは他に類を見ない。
デザイン画には有るけれど、実際に立体になった時にしかわからない 、
実際のモノになった時の「実感」に基づいて、
僅かに形を変化させる。
エッジを効かせる。
滑らかなカタチを出す。
最終仕上げの時に、エッジをきかせたいけれど、どこまでエッジを鋭くするかは、使用感とのせめぎ合い。
ギリギリのところできれいなラインを出していく。
クラフトマンの評価はつい難しい技巧的な部分に注目されがちだけれど、時代とともに変化する「人が心地いい」と思えるラインを生み出せること。
それは、「社会の問題を解決して、新しい提案をする」というデザインの基本に立ち戻るなら、ものづくりの核心ではないかと思える。