凛とした、Pt900 コンクパールとエングレイビング(和彫)リング
コンクパールはピンク色の、カリブ海でのみ採れる天然の真珠で養殖はできません。
「コンクパールでリングをつくって欲しい」
ある日、そう言ってお店にいらっしゃった方は、ある病気と闘っていた。
コンクパールの石の言葉は「健康、長寿」
どんなデザインがいいか、シンコーストゥディオのジュエリーを見ながら色々ご相談。
形が決まったところで、お客様から「ダイヤではなくて、彫でできないかしら」とのご提案。
菫(すみれ)の花を彫りたいという。
しかし、一番細いところは1.5mmしかない。
できるのかなあ?と、いつも彫をお願いしている、エングレーバーの宮本輝美に聞いてみる。
「大丈夫彫れます」
揺るぎない自信をもって彼女は言った。
そして、出来上がって来たリング、ちゃんと1.5mmのところの端まで、菫(すみれ)と両端にミル打ち(点々のような彫)がきちんと、しかも美しく入っていた。
そして、クラフトマンの滝口が割れやすいコンクパールのために細い爪をつくって、やさしくやさしく石留をした。
彫の瞬きと渋いピンクが相まって、凛とした美しいリングになった。
美しくしなやかだけど、強い意志と闘志で生きている身に着ける方と同じように。