Pt900 和彫りマリッジリング 日本の彫で…カナダからのオーダー
ジュエリーはヨーロッパのモノ
私たちは、鏨(たがね)と小づちを使って彫り上げる「和彫り」という技術を用いたジュエリーを、当初のコレクションから発表し続けてきました。
その仕事は、西洋発祥だと言われるジュエリーを、日本人がつくる意味を持たせてくれる仕事です。
ヨーロッパには数百年続いた老舗のジュエラーや、マイスターたちがたくさん存在します。
一方で、たかだか明治時代からの文化でジュエリーをつくるようになった、日本のジュエリー。
ヨーロッパのジュエリーを真似するだけでは、それはどんなにうまくても、やっぱり西洋文化の真似にしか過ぎないでしょう。
日本だからできる仕事
そんな想いがずっとあったときに、和彫りの仕事と出会いました。
日本の和彫りは、元をただせば、刀の鍔(つば)などの金属装飾をする刀剣金工士、または簪(かんざし)などをつくる錺(かざり)職人たちが、明治時代よりもっと、もっと昔から、ずっと育ててきた技術。
日本の金属工芸の仕事は、歴史もその精緻な仕事も、アーティスティックな感性も、決して西洋の金属加工の技術に負けていません。
ジュエリーは西洋のモノ…
そのように思われない、独自の文化背景を持ったジュエリーをつくって行きたいなと思います。
自分たちの歴史や文化の独自性を表現するということは、オンリーワンの一人一人を認め、受け入れるということにつながると思っています。
それは、人が辛くて崩れてしまいそうなときにこそ、その人がまた立ち上がれるきっかけになるかもしれません。
つくった人間の魂みたいなものが、そこに入っていることがとても大切だと考えています。
海外からのオーダー
私たち日本人が感じている以上に、海外の方にとって日本の仕事や文化が魅力的なようです。
和彫りのシリーズのコレクションは、英語のウェブショップでは、常に継続的に海外から注文が入ります。
海外から、どうやってうちのウェブサイトにたどり着くのかは、本当に不思議だけれど、このマリッジリングもウェブショップで見て、少し彫を変えたカスタムオーダーです。
カナダからの注文でした。
桜の花と、浪葉(葉が風で浪のようにそよいでいる)模様を、宮本輝美が彫入れました。
日本の技術や感性を、日本人以外の人たちが買ってくれるということは、自分と違う歴史や文化を「ステキだ」って思えること。
国境を越えて、人種、民族、価値観を超えて「いいな」って思ってくれるって、平和な未来につながると思う。